RESEARCH

　地球温暖化・環境・エネルギー問題を解決する、高効率で実用的な人工光合成光電極を実現することを目標に、窒化アルミニウム（AlN）のバンド構造をエンジニアリングして超高効率光電変換材料にする研究を行っています。

　人工光合成は、太陽光を一次エネルギーとし、水と二酸化炭素を原料に、貯蔵可能な代替エネルギー（水素、メタンなど）を生成する技術です。二酸化炭素排出量の抑制や二酸化炭素の固定化を行うことができるため、究極のクリーンエネルギー技術として関心を集めています。

　残念ながら、太陽光のうち紫外線しか利用できず、燃料生成効率が非常に低いのが現状です。可視光を利用しようとする研究が進められていますが、レアメタルが必要になったり、デバイス作製方法が複雑になったり、といった別の問題が起こっています。そのため、人工光合成技術で得られたエネルギーが化石燃料の代替エネルギーとして一般に使われるには、まだまだ遠い状況です。

　わたしたちは、太陽光全体、つまり紫外-可視-赤外光を利用できるバンド構造を持つ、新しい材料“マルチバンドギャップ物質”をAlNをベースに実現する課題にチャレンジしています。デバイスを構成する材料が普遍的に存在する元素の組み合わせであること、デバイスを作る方法が簡単なこと、という条件を課して、本当に実用的な人工光合成デバイスをつくることを目指しています。